認知症は脳の働きのうちで「記憶力」や「判断能力」という知的な能力が低下してしまう病気です。物忘れが激しくなったり、情緒不安定になったり。親が認知症になると、毎日が戸惑いの連続となります。症状はひとりひとりで違いますので、ひとくくりにはできない難しさがありますが、もし下記のような症状が長く続いた時は認知症の可能性を疑って、早めに専門の病院を受診していただきたいと思います。
【 初期 】
もの忘れをする
同じことを何度も繰り返す
間違いが多くなる
新しいことに対処できない
金銭感覚がなくなる
【 中期 】
時間の感覚がなくなる
季節の認識がなくなる
徘徊をするようになる
幻覚を見たり妄想したりする
突然騒いだり暴力をふるう
【 後期 】
感情がなくなる
家族の顔を忘れる
手足がまひして動けなくなる
飲食ができなくなる
まず、本人に認知症の自覚がないと考えてしまうのは間違いです。実は真っ先に本人が気付くケースが多く、いままで普通に出来ていたことができなくなって、大きな不安を感じている可能性が高いです。
周囲が「あれ?おかしいな?」と思って指摘をしても、本人は自分の心を守るために症状を否定したり誤魔化したりする傾向があります。その心情を理解してあげて、問い詰めたりすることは避けていただきたいです。また、理解力や記憶力は低下しても、決して感情は失っていません。怒られた悲しみや恥ずかしさはいつまでも感情として残ります。叱責をしたりせず、どうか自尊心を尊重した対応を心がけてください。
認知症になったとしても親は親です。その人自身に変わりありません。記憶がなくなっていく・・・そんな状況や不安を理解したうえで、自然に接しながら温かいサポートを心がけたいですね。
一般的に認知症は治療方法がないと言われますが、いろんな人と接したり、屋外へ出かけたりして脳に刺激を与えることで、その進行を遅らせることは可能です。絵画などの芸術活動への取り組みも効果的だといわれています。見方によって認知症の患者は、世俗的な価値観から開放され、むしろ人としての面白味や創造性は高まっているのですから!
親が認知症になると、その症状だけでなく「この先どうなっていくんだろう・・・」という先が見えない恐怖や不安も大きく、どれだけ懸命に介護をしても感謝されず、強烈な言葉や態度にさらされ精神的にも肉体的にも消耗しがちです。不条理さを伴う認知症の介護をしていると、病気だからと頭ではわかっていても、受け止めきれなくなることもあるかと思います。
ひとりで抱え込まずに、現状や悩みを周囲に打ち明けて、サポートしてもらうように心がけていただきたいです。認知症患者を受け入れているデイサービスセンターを利用して息抜きの時間をつくったり、施設への入所も状況に応じて検討するべきだと思います。
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